用紙:印刷の一日前に工場内に入れ、シーズニングする
環境:温度20±5°湿度50±10%
印刷機:定期的に適切なメンテナンスを行う
版:適切な版設計、必要なアクセサリー、ステベタ
インキ:用紙や使用目途にあったインキを選定
後加工:後加工適正にあった材料選定
などの条件を満たした上で、
適切なインキ膜厚(濃度)
適切なドットゲイン
適切なトラッピング
ができていれば、いい印刷物が出来上がる
濃度、ドットゲイン、トラッピングは分光光度計で数値化できるので、数値管理が可能である。
これらが適切にできれば、グレーバランスの良い印刷物となる。


濃度の説明は以前行っているので、ドットゲインとトラッピングの説明をしよう。
ドットゲインとは

- 物理的ドットゲイン:版胴からブランケット胴に転移したインキは圧胴との間に通る紙に転写し、その時の圧でつぶされる。網点は版の網点よりも太くなる。
- 光学的ドットゲイン:濃度計で計測する際、45度で入射した光が反射され0度にある受光子で受け取る。網点の周辺で紙に入射した光が紙の繊維で乱反射し、ぼやけたインキとして濃度計の受光子にとらえられ網点が太る。
JAPAN COLORでは50%の網点部分でドットゲインは14±3%と規定している。

トラッピングとは
2色以上が重なった時、先刷りインキの上に後刷りインキがどの程度転写しているかを表す数字
トラッピングが悪いと2次色(RGB)の彩度が落ち鮮やかな色彩が失われる。
印刷機の中では、インキはまだ硬化しておらずウエットな状態である。紙の上にはインキは着肉しやすいが、インキの上には着肉しにくい。後刷りインキのタック(インキの粘り気)が強いと先刷りインクがはがされて後刷りインクの着肉がさらに悪くなる。
そこで印刷機の刷順K→C→M→Yの順にインキは柔らかくしている。
JAPAN COLORの参考値でRGBのLabが表示してある。
L | a | b | |
R | 46.3 | 69.0 | 45.5 |
G | 47.7 | -70.6 | 22.4 |
B | 22.0 | 20.0 | -47.7 |
RGBのベタ部を分光光度計で測定し、この数値とΔEが5以上離れている場合は、トラッピング不良を疑ってみる必要がある。
濃度、ドットゲイン、トラッピングが正常値であれば、それはいい印刷である。