

スペック |
解像度:1,200×1,200dpi |
印刷速度:3,000枚/時(片面時)、1,500枚/時(両面時) |
最大用紙サイズ:585×750mm |
紙厚:0.06~0.60mm(片面時)、0.06~0.45mm(両面時) |
LED-UV1灯 |
アンカーコート不要 |
オフセットで使える紙はほぼ使える |
B2縦通し |
筐体、搬送系は小森コーポレーション、インクジェットヘッドとエンジンはコニカミノルタ。
小森コーポレーションがデジタルインクジェットに参入する際、オフセットで使える紙が使えること、両面印刷ができること、の2点を重視した。
インクジェットの主流である水性顔料インクでは、インク着弾のために紙にアンカーコートが必要。紙に糊を塗るようなもので薄紙が難しい。
また、乾燥のために印刷工程後にボイラーを設置する。そのため、構造的に両面印刷ができない。
そこで、コニカミノルタと組み、LED-UVで硬化させるUVインクを採用した。アンカーコートが不要でオフセットで使える紙はほぼ使える。
乾燥用のボイラーも不要なので、シリンダーの下部に反転装置をつけることによって両面も可能になった。
ただ、UVインクはタックが強いため、インクジェットヘッドノズルから吐出させるために約80度まで熱する必要があり、ヘッドに与えるストレスが高い。
水性顔料タイプより、ノズルが詰まることが多く、βテスト期間には約100か所にのぼる改善要求を行った。
改修に約1年を要し、苦労はしたが、本印刷が順調にできるようになり、正式採用した。このβテストのおかげで、ユーザーにとって非常に使いやすい機械になった。
通常はオフセット印刷に合わせるため、Japan Color基準のプロファイル運用をしているが、フルガモットで出力すると、オフセット印刷より色域が広がる。
また、オフセットで起こるようなトラブル、例えばゴーストやダブり、逆トラなどは論理的に起こらない。
ロット内での安定も抜群である。3,000枚連続出力での濃度変化は下記のようになり、オフセットより安定している。
1 | 300 | 600 | 900 | 1,200 | 1,500 | 1,800 | 2,100 | 2,400 | 2,700 | 3,000 | 平均 | 標準偏差 | 最大差 | |
C | 1.46 | 1.45 | 1.45 | 1.43 | 1.44 | 1.44 | 1.45 | 1.45 | 1.46 | 1.45 | 1.45 | 1.45 | 0.0083 | 0.03 |
M | 1.55 | 1.51 | 1.51 | 1.49 | 1.49 | 1.48 | 1.49 | 1.49 | 1.49 | 1.50 | 1.49 | 1.50 | 0.0183 | 0.07 |
Y | 1.54 | 1.53 | 1.53 | 1.51 | 1.52 | 1.54 | 1.54 | 1.53 | 1.54 | 1.52 | 1.55 | 1.53 | 0.0111 | 0.04 |
K | 1.84 | 1.84 | 1.85 | 1.85 | 1.84 | 1.84 | 1.84 | 1.84 | 1.84 | 1.84 | 1.83 | 1.84 | 0.0051 | 0.02 |

課題としては、用紙を変更するとシリンダー温度を変える必要があり、低温→高温は問題ないが、高温→低温では時間がかかる。
ノズルつまりで復旧しなくなった場合、ヘッド交換が必要になり、交換後の調整に時間がかかる。
オフセット印刷に比べ、回転速度が遅い。インク代が高額である。
などがあげられるが、オフセット印刷と違い、1週間研修を受ければパートさんで運転ができるようになる。
CTP出力が不要なため、データが揃えばすぐに印刷ができる。
これらのメリットははかり知れない。
デジタルインクジェットの市場性は十分に認められた。今後のB1サイズデジタルインクジェットに期待したい。