版面設計で最も重要なのは、使用目途であり、以下に代表的な例をあげます。
- 工場出荷用(出荷検査、工程内検査)
工場のラインにおける検査用。
総合的なチャートで最も精度を要求する。それと同時にロット内誤差、ロット間誤差をできうる限り最小にする。
濃度、L*a*b*、線幅・線濃度、寸法などに規格値、許容値を設定する。
測定ポイントも多く、NGになるリスクも高いが、規格を緩めてはいけない。
寧ろ条件を多くして精度を上げていく。
従来はグレーは濃度管理だけであったが、近年では色相管理も行う傾向にある。
- 開発用
新機種の開発、新機能の開発などで、その検証のために使用する。
従って多種多様なものとなり、何を求めるかで仕様は異なってくる。
2 – 1.MTF
後述するMTF用。ラダーの黒白幅を1:1にする。また、線濃度とベタパッチ濃度をできる限り近づける。線幅の許容値は±10μm程度。
2 – 2.グレースケール
数段階のグレーのパッチのチャート。諧調をチェックするためのもの。
全てのベタをソリッドで作ると、色数が増えて高価になる。廉価版では網点を使う。
2 – 3.寸法精度
紙の場合、伸縮は必ずあるため、寸法精度の保証はできない。
寸法精度の保証をするために、東洋紡のクリスパーK2323を使用する。
紙のような伸縮はないが、印刷の際に圧がかかるため、全く伸縮しないわけではない。
測定には二次元測定器を使用する。
寸法だけでなく、真直度(真っすぐさ)、平行度、直角度なども測定する

2 – 4.色相
狙ったL*a*b*の値の色を出す。
肌の色や空の色、草の色など、良く出現する色を出すことが多い。特色で対応する。
2 – 5.オフセット印刷見本
狙ったL*a*b*の値の色を出す。
開発のターゲットとなる印刷物。オフセット枚葉JAPAN COLOR基準で印刷する。
2 – 6.画像不良見本
出力した際の不良の見本。不良サンプルを参考に画像補正でデータを作っていく。
最初に10段階くらいの見本を印刷し、その中から選んでもらうことが多い。
2 – 7.ユーザー調整用
プリンタにベタ付けし、ユーザーが調整するために使う。
- サービス用
サービスマンが修理や点検を行う際に使用する。
規格としては、工場出荷用や開発用よりはゆるくなる。
サービス部門で使うため納品先は受入倉庫となり、受け入れ先では受入検査はない。
そのため当社で出荷検査を行い、担当部署に検査データを提出する。
サービスパーツとして部品登録される。
このチャートはメーカーで購入し、販売子会社や世界各地の代理店から注文を取って販売される。
梱包形態や伝票、表示ラベル等を間違えないようにする。
海外出荷も多いため、RoHS規制や海外輸出禁止物質などの制限を受ける。
規格がゆるめとはいえ、いったん出荷されると客先でもチェックなく市場に投入される。
従って、ヤレ混入や、異種混入などの重大事故ともなると、全世界回収などの事態も考えられる。
出荷検査でのチェックをおろそかにしてはいけない。
- 光学系
これは、レンズ、カメラなどの解像度やピント、周辺収差などをチェックするためのもの。
壁などに貼って、撮影するため、大サイズが多い。
紙1枚だと真っ平にならないため、アルポリやソフロンに貼る場合がある。
複写機用ほど細かい線が不要なので、CTPを使用し4000dpiで出力する。