印刷

Impremia IS29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スペック
解像度:1,200×1,200dpi
印刷速度:3,000枚/時(片面時)、1,500枚/時(両面時)
最大用紙サイズ:585×750mm
紙厚:0.06~0.60mm(片面時)、0.06~0.45mm(両面時)
LED-UV1灯
アンカーコート不要
オフセットで使える紙はほぼ使える
B2縦通し

筐体、搬送系は小森コーポレーション、インクジェットヘッドとエンジンはコニカミノルタ。
小森コーポレーションがデジタルインクジェットに参入する際、オフセットで使える紙が使えること、両面印刷ができること、の2点を重視した。
インクジェットの主流である水性顔料インクでは、インク着弾のために紙にアンカーコートが必要。紙に糊を塗るようなもので薄紙が難しい。
また、乾燥のために印刷工程後にボイラーを設置する。そのため、構造的に両面印刷ができない。
そこで、コニカミノルタと組み、LED-UVで硬化させるUVインクを採用した。アンカーコートが不要でオフセットで使える紙はほぼ使える。
乾燥用のボイラーも不要なので、シリンダーの下部に反転装置をつけることによって両面も可能になった。
ただ、UVインクはタックが強いため、インクジェットヘッドノズルから吐出させるために約80度まで熱する必要があり、ヘッドに与えるストレスが高い。
水性顔料タイプより、ノズルが詰まることが多く、βテスト期間には約100か所にのぼる改善要求を行った。
改修に約1年を要し、苦労はしたが、本印刷が順調にできるようになり、正式採用した。このβテストのおかげで、ユーザーにとって非常に使いやすい機械になった。
通常はオフセット印刷に合わせるため、Japan Color基準のプロファイル運用をしているが、フルガモットで出力すると、オフセット印刷より色域が広がる。
また、オフセットで起こるようなトラブル、例えばゴーストやダブり、逆トラなどは論理的に起こらない。
ロット内での安定も抜群である。3,000枚連続出力での濃度変化は下記のようになり、オフセットより安定している。

 13006009001,2001,5001,8002,1002,4002,7003,000平均標準偏差最大差
C1.461.451.451.431.441.441.451.451.461.451.451.450.00830.03
M1.551.511.511.491.491.481.491.491.491.501.491.500.01830.07
Y1.541.531.531.511.521.541.541.531.541.521.551.530.01110.04
K1.841.841.851.851.841.841.841.841.841.841.831.840.00510.02

課題としては、用紙を変更するとシリンダー温度を変える必要があり、低温→高温は問題ないが、高温→低温では時間がかかる。
ノズルつまりで復旧しなくなった場合、ヘッド交換が必要になり、交換後の調整に時間がかかる。
オフセット印刷に比べ、回転速度が遅い。インク代が高額である。
などがあげられるが、オフセット印刷と違い、1週間研修を受ければパートさんで運転ができるようになる。
CTP出力が不要なため、データが揃えばすぐに印刷ができる。
これらのメリットははかり知れない。
デジタルインクジェットの市場性は十分に認められた。今後のB1サイズデジタルインクジェットに期待したい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加